お二人の話は漫画家志望だった少年時代の話から今後の電子出版の動向まで、尽きることなく熱く語られたのでありました。
- 平井
- (前略)6月にTVで「オレンジ☆ロード」の放映をやっていた。
それで「オレンジ☆ロード」の原作本を必死に探しまくって、その過程で「ボヘミアンガラス・ストリート」という小説を書き始めてしまった。
それで、9月から書き始めて、「オレンジ☆ロード」の原作本を入手したのは10月だったんですよ。その時までにすでに3冊書いちゃった!
とどまることを知らぬ勢いでどんどん書いてしまった。これは何か天の啓示と関係があるんだろうということで、私の昔からの10年くらい前からおつきあいのあった「本城くん」に連絡した。彼はおりしもパソコン雑誌の「ネットワークス」というアスキーの雑誌の編集部にいたんです。
で、彼とは、時々電話で話したり、会ったりするような仲だったんで、こちらから、売り込んでそれで、電子出版という話を実現させたという訳です。
ですから、全部ね、電子出版というのは天でお膳立てされたという感じだった。
もし、6月のある夕方にたまたま、TVをつけてて「オレンジ☆ロード」の再放映をやっていなければ、私は「ボヘミアンガラス・ストリート」は書かなかったし、電子出版もやっていなかったということです。
ですから、まつもとさんの作品が私を電子出版に向かせたという一番の最大のきっかけでした。(笑)- まつもと
- ありがとうございます。
- −−−−
- 電子出版というものはどういうものなのか、ということをお聞きしたいと思います。非常に漠然とした質問なんですけれども。
- 平井
- まあ、メディアの問題ですよね〜。
そうすると、古来の人間は木片に書いたり、あるいは、大きな石に書いたり、洞窟の壁に書いたり、もういろんなメディアを使って何かの表現をしようとしてきた訳でして、ずっとその大座を保っていたのが紙、ペーパーだった。
で、やっぱり資源の問題でこれから、これはもう王座を去らなければならないという段階にきている。
丁度その切り替え時で、電子メディアというのは電話とか、TV、ラジオ、無線、そういう形でもうすでに急激に実現化しているということですね。
それで、コンピューターが驚異的な発展を遂げれば、もうすんなりとペーパーが王座をゆずるのは、電子メディアの電子出版といえるであろうと予測できる訳なんです。
別に難しいことでも何でもなくて、誰でもその予測は、TVなどの発展の先にやっぱり電子出版というものが発見されるんじゃないか。電子出版って今、電話回線使ってやっていますが、いずれ、TVみたいに電波で流すってことだってありますしね。そっちの方が無料で出せるのだから.....。- まつもと
- INTERNETとかパソコン通信とか。
- 平井
- 電波メディアでもわりと早く来るんじゃないかと思いますねぇ。
- まつもと
- まあ、文字放送とか、そういうものも実験的に成されてきていますよね。ああいうものも電子出版と考えてよろしいんでしょうか?
- 平井
- 電子出版の初期形態じゃないでしょうかね。
ただ、パソコンが一番優位になっているのは双方向で、電子図書館というのは一番作りやすいってことになるんでしょうかね。やっぱり、電子図書館ですよ。一番の目標はね。- まつもと
- 誰もがそこにいつでもアクセスできて、いつでも好きなものを取り出せる状況にあると。(後略)
この続きはCD−ROM「COMIC ON Vol.1」でお楽しみください。
平井氏の作品は、「ボヘミアンガラス・ストリート」がニフティサーブの「GO NASCII」でオンライン出版されており、最新作「月光魔術團」は紹介文がインターネットアスキーのホームページにあります。