僕は、そのとき何があったのかは知らない。何者かが訪れて父と母が殺されたとき、
僕は激しい拒絶の感情とともに、立ちすくんでいただけだったから・・・。
しかし八歳のあの日、ただ立ちすくんでいた自分から抜け出して、肉体を持たない自分がここにいる。
どうして抜け出せたのかはわからないけれど、どっちにしてもここは閉鎖空間だ。
僕は九年もの間、ここから出ていく方法を探し続けてきたんだ・・・。
Macintosh を駆使した美しい彩色が冴える、内田美奈子の描き下ろし連載の第二回。
緻密なプロットに裏打ちされたサイエンス・ホラーの世界は、思わずぞくっとさせられる面白さである。